<学習コラム>所得や学歴より「自己決定」が幸福度を上げる 2万人を調査
2019年01月16日(水)
神戸大学社会システムイノベーションセンターの西村和雄特命教授と同志社大学経済学研究科の八木匡教授は、国内2万人に対するアンケート調査の結果、所得、学歴よりも「自己決定」が幸福感に強い影響を与えていることを明らかにしました。
この研究成果は、9月12日に行われる神戸大学経済経営研究所創立100周年記念連続シンポジウム「幸せの計り方」で西村特命教授により講演され、また、独立行政法人経済産業研究所のディスカッション・ペーパーとして公開されます。
研究の背景
国連の2018年世界幸福度報告書では、日本の主観的幸福度は54位と低位にありました。幸福度に影響を与えている要因は、所得、学歴、健康、人間関係など様々考えられます。1970年前後から所得水準と幸福度が必ずしも相関しないことが指摘され、幸福度研究が注目されていますが、何がどの程度影響しているかは未だ明確ではありません。
そこで本研究では、独立行政法人経済産業研究所における「日本経済の成長と生産性向上のための基礎的研究」の一環として、楽天リサーチを通じて実施した「生活環境と幸福感に関するインターネット調査」(2018年2月8日~2018年2月13日) の、国内約2万人のアンケート結果を元に、幸福感と、幸福感を説明する重要な要因を分析しました。
http://www.kobe-u.ac.jp/research_at_kobe/NEWS/news/2018_08_30_01.html?fbclid=IwAR33-NqenRr0lpDUSMkfmGcGak4RoX2OH3JA8EXCAtRTE6WMlSIjayBnmus
この研究成果は、9月12日に行われる神戸大学経済経営研究所創立100周年記念連続シンポジウム「幸せの計り方」で西村特命教授により講演され、また、独立行政法人経済産業研究所のディスカッション・ペーパーとして公開されます。
研究の背景
国連の2018年世界幸福度報告書では、日本の主観的幸福度は54位と低位にありました。幸福度に影響を与えている要因は、所得、学歴、健康、人間関係など様々考えられます。1970年前後から所得水準と幸福度が必ずしも相関しないことが指摘され、幸福度研究が注目されていますが、何がどの程度影響しているかは未だ明確ではありません。
そこで本研究では、独立行政法人経済産業研究所における「日本経済の成長と生産性向上のための基礎的研究」の一環として、楽天リサーチを通じて実施した「生活環境と幸福感に関するインターネット調査」(2018年2月8日~2018年2月13日) の、国内約2万人のアンケート結果を元に、幸福感と、幸福感を説明する重要な要因を分析しました。
調査方法
全国の20歳以上70歳未満の男女を対象に、アンケート調査を実施しました。配信数933,329件に対し、33,598件の回答があり、データチェックを行って信頼性の高いデータのみを抽出し、20,005件を分析で用いました。アンケートは性別・年代・都道府県で人口構成比に合わせて割付回収を行っています。
調査にはオックスフォード式の心理的幸福感を測る質問を用い、所得、学歴、自己決定、健康、人間関係の5つについて幸福感と相関するかについて分析を行いました。また、政府機関にてしばしば用いられる主観的幸福感の調査も併せて行い、心理的幸福感の因子の信頼性を評価する参照指標としています。
自己決定度を評価するにあたっては、「中学から高校への進学」、「高校から大学への進学」、「初めての就職」について、自分の意思で進学する大学や就職する企業を決めたか否かを尋ねました。
調査結果
年齢との関係では、幸福感は若い時期と老年期に高く、35~49歳で落ち込む「U字型曲線」を描きました。所得との関係では、所得が増加するにつれて主観的幸福度が増加しますが、変化率の比(弾力性)は1100万円で最大となりました。
また、幸福感に与える影響力を比較したところ、健康、人間関係に次ぐ要因として、所得、学歴よりも「自己決定」が強い影響を与えることが分かりました。
注)学歴は説明変数として統計的に有意ではない。
これは、自己決定によって進路を決定した者は、自らの判断で努力することで目的を達成する可能性が高くなり、また、成果に対しても責任と誇りを持ちやすくなることから、達成感や自尊心により幸福感が高まることにつながっていると考えられます。
日本は国全体で見ると「人生の選択の自由」の変数値が低く、そういう社会で自己決定度の高い人が、幸福度が高い傾向にあることは注目に値します。
全国の20歳以上70歳未満の男女を対象に、アンケート調査を実施しました。配信数933,329件に対し、33,598件の回答があり、データチェックを行って信頼性の高いデータのみを抽出し、20,005件を分析で用いました。アンケートは性別・年代・都道府県で人口構成比に合わせて割付回収を行っています。
調査にはオックスフォード式の心理的幸福感を測る質問を用い、所得、学歴、自己決定、健康、人間関係の5つについて幸福感と相関するかについて分析を行いました。また、政府機関にてしばしば用いられる主観的幸福感の調査も併せて行い、心理的幸福感の因子の信頼性を評価する参照指標としています。
自己決定度を評価するにあたっては、「中学から高校への進学」、「高校から大学への進学」、「初めての就職」について、自分の意思で進学する大学や就職する企業を決めたか否かを尋ねました。
調査結果
年齢との関係では、幸福感は若い時期と老年期に高く、35~49歳で落ち込む「U字型曲線」を描きました。所得との関係では、所得が増加するにつれて主観的幸福度が増加しますが、変化率の比(弾力性)は1100万円で最大となりました。
また、幸福感に与える影響力を比較したところ、健康、人間関係に次ぐ要因として、所得、学歴よりも「自己決定」が強い影響を与えることが分かりました。
注)学歴は説明変数として統計的に有意ではない。
これは、自己決定によって進路を決定した者は、自らの判断で努力することで目的を達成する可能性が高くなり、また、成果に対しても責任と誇りを持ちやすくなることから、達成感や自尊心により幸福感が高まることにつながっていると考えられます。
日本は国全体で見ると「人生の選択の自由」の変数値が低く、そういう社会で自己決定度の高い人が、幸福度が高い傾向にあることは注目に値します。
http://www.kobe-u.ac.jp/research_at_kobe/NEWS/news/2018_08_30_01.html?fbclid=IwAR33-NqenRr0lpDUSMkfmGcGak4RoX2OH3JA8EXCAtRTE6WMlSIjayBnmus